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ナンバー938の呟き

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身の程知らずにもわずかばかりの知性をふりかざしてみたくて呟くのである

コニー・ウィリス「もろびと大地に坐して」

 コニー・ウィリスのヒューゴー賞受賞ノヴェラ「もろびと大地に坐して」を読み終えた。さすがにウィリスはストーリーテリングがうまい。180枚という長さの中で、クリスマスソングと宇宙人というお題で、しっかりと地球の平和を守ることができたし、主人公たちの恋物語すら主旋律とはならずともしっかりと奏でている。
 で、面白かったの?というと、なんだかSFとしての面白さではないという違和感が残る。実はヒューゴー賞というのはアメリカのガチガチのSFファンの人気投票で選ばれる作品なので、この作品がガチガチのSFファンの琴線にふれたのであろうことは疑う余地がない。でも、ボクの琴線にはまったくふれてこなかったのだ。
 最後まで読ませる筆力にも、作品のネタをいっぱい詰め込んだ細かな構成にも、たいへんおそれいるのだけど、なんだかそれがどうしたというのよぉ!という話なのだ。コニー・ウィリはそういう作品しか書けないのかもしれない。どことなく宮部みゆきを彷彿させる感じがある。
 作品としてのできはすばらしいのに、ぐっとくる面白さがないので、訳者の大森望の激賞ほどには感動はしない。訳者の大森望の感性と必ずしも合わないところがあるのは、ボクとの読解力の差なのかもしれなが、とてもうまい作家であることは間違いなくても、何か心に残るような作家ではないのだ。
 以前読んだ上下二冊の長編「航路」のつまらなさにはほんとにがっくりした。もちろん一般的な小説としての完成度は高いし、最後まで読ませてしまう力量はすばらしいのだけど、ボクが期待した面白さはぜんぜんなかっただけのことかもしれない。
 でも、しょうこりもなく「マーブル・アーチの風」を買ってきた。何も残らないにしても、うまい作家であることは間違いない。題材は面白そうなんだけどなぁ。
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by kkusube | 2008-12-10 22:40 |