人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

ナンバー938の呟き

kkusube.exblog.jp

まったくのアホながら わずかばかりの知性をふりかざしてみんとて 呟くのである

短編をちょこちょこ

 このこところギブスン&スターリングの「ディファレンス・エンジン」をちびちびと読んでいる。寝る前にちびちびと読むと、果たして何が書いてあったのか最初の方の記憶はなくなっているが、改変世界ものとしては面白い作品なのかもしれない。ようやく下巻にはいったところで、その合間に短編を読んだりしている。

 図書館で借りてきてSFマガジン4月号のロバート・チャールズ・ウィルスンの「無限分割」を読む。1999年のヒューゴー賞第二席なんだそうだが、妻に先立たれた男の人生の悲哀を”無限に分割する命”というモチーフとからめて描いている作品なんだが主人公が60歳にしてはすごく老けている。不思議な古本屋を訪ねたことから主人公がそれまで生きてきた世界ではありえない古本に出会う。このあたり、不思議なんたらテーマで大して面白くもない。こんな印象の弱い作品しかいまのアメリカSFにないのだとしたら、アメリカSFは随分とつまらないところにいってしまっているのだろう。2月号の「フルーテッド・ガールズ」 パオロ・バチガルピの方がずっと面白く印象に残った。
 書店でなかなか見かけないチェス小説のアンソロジー「モーフィー時計の午前零時」の表題作はフリッツ・ライバーの作品。アイディアは時計にやどるチェスの神様のいたずらを描いたチェス小説というありきたりな作品でありながら、ライバーの筆力でうまくまとまっている。この長さだとこんなものだろうか。
傑作短編集というのを読んでも、その中に数作印象に残る作品があればいいところなので、後の作品にどんなものがあるのか楽しみである。このチェス小説のアンソロジーはきわめて小部数しか出版されていないらしく、大きな本屋でも見当たらない。
by kkusube | 2009-04-07 20:42 |

by kkusube