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ナンバー938の呟き

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身の程知らずにもわずかばかりの知性をふりかざしてみたくて呟くのである

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 海外で総数6000万部を超える大ベストセラーで、ハリウッドでも映画化されるという話題の作品。図書館で借りてきて読んでみると、これが大当たり。昔ディック・フランシスの「興奮」を読んだ時の面白さが蘇ってきた。ミステリだけど、探偵が事件を捜査するわけではないし、事件が解決したからといって犯人が逮捕されるわけでもない。変に凝りすぎた社会派ミステリでも本格ミステリでもないエンターティメントの王道をゆく作品。
 ボケた主人公の名探偵カッレ君に同情するわけでも、少女のようなヘビメタハッカーの長靴ピッピが大好きになるわけでもないけれど、ついつい時間を忘れて読み進めたくなるオススメの作品である。吉本ばななの推薦の言葉は、随分とひねくれた可愛らしさがお好きなのねと思ってしまうし、児玉清氏の褒め言葉はいいすぎだけど、ドロドロとした設定にもかかわらず、かなり異常な性関係も描かれているが読んでいて嫌な気分にはならない。スェーデンではこれがそんなに不思議ではないのだろうと思った。
 ハヤカワ文庫から再刊されたのでいまなら書店で平積み中。
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by kkusube | 2011-09-28 20:30 |
 宇宙版ほら男爵の物語のようにも紹介されているレムの泰平ヨンシリーズだが、実際にはコメディではなくかなりシリアスな内容が多い作品集だ。巻頭の「第七回の旅」を読むだけならば楽しいが、「第二二回の旅」は宗教を揶揄しているかのようなグロテスクな話だ。なぜレムはこのような話を書いたのだろうか。小説家となってから晩年の「泰平ヨンの地球平和(未訳)」まで、泰平ヨンシリーズは書き継がれているところを見ると、ヨンそのものがレムであるのかもしれない。気楽な内容の筈なのに、読みだすとけっこう辛いものがある作品集である。500pを越える分量もなかなか一息に読み終えることができないところだろうか。

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by kkusube | 2011-09-20 19:24 |
 ようやくピンチョンの「V.」(上・下巻)を読み終えた。7月の中旬からだから2ヶ月もかけてちまちまと就眠儀式のように読んでいたことになる。マルタに始まりマルタに終わる話。2つの時代とそれぞれに生きる親子の物語であったり、あるいはほぼ20世紀の前半の世界を描いた話であったりする。いくつものエピソードそれぞれが興味深く面白いものだけど、それでは最後まで読んで何か残るのかと言われるとぼんやりとした読後感しかない。かなりエロティックな話であること。ドイツ領であった頃の南西アフリカの話はエロいだけでなくグロでもある。そういう時代が確実にあったし、21世紀になっても今なお世界中では同じような愚行があたかも正しいかのように続いていることを思うと、人間の愚かさは変わることがないのだと思わせる。何度か読みなおしてようやく分かる伏線もあるのだろうし、何を描こうとしているのかも理解度によってはいくらでも変わってくるような話だけど、この話を重くしてしまえば村上春樹の「ねじまき島クロニクル」になるのかもしれない。あるいは村上春樹もピンチョンにインスパイアされた部分があったのかもしれない。

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by kkusube | 2011-09-15 19:27 |