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ナンバー938の呟き

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まったくのアホながら わずかばかりの知性をふりかざしてみんとて 呟くのである

 タイトルはよほど本を売るのに困っている新潮社編集部が付けたものだろう。あるいはセンセーショナルな効果をあえて狙ったか。
 内容は、統合失調症やうつ病という精神科であつかう疾患の現状をトピックとなる患者の風景を丁寧に描写しながら、多くの失敗例をあげて精神疾患を治療することの困難とその困難の時代背景を吐露するとともに、精神科疾患治療に関して専門家と称する怪しげな治療が横行していることを嘆いている。いわくセロトニン脳関連のセロトニンサプリ(中身はトリプトファン)で暴利を貪っている医療関係者、精神療法にたより治療時期を失する医療関係者、脳科学といういかにもありそうな科学をでっち上げて害毒をまきちらす脳ファンタジスト。心の風邪という分かりやすい表現で病気の真実を隠そうするマスメディア。果ては精神科の薬物治療と精神医学とを目の敵にしているサイエントロジースト。「7500万円前、宇宙はジヌーという名の邪悪な帝王に支配されていたが、その世界で人口が増えすぎたため、ジヌーは手下の精神科医に薬を使わせて人々を眠らせて冷凍し、輪送機で地球まで運搬して、火山の火口に投げ捨てて水爆で爆破して始末した」という教義らしい。あら?これって「バトル・フィールド・アース」?
 そもそもが精神疾患はどこまでが正常でどこからが病気なのか?
 DSMガイドラインによる診断は素人でもできる内容だけど、それで果たして病気の本質にせまることができるのか?適切な治療ができるのか?そのあたりはまだまだこれからの展開に期待するしかない。
 分かっているのは脳の精神活動の仕組みに関しては何等分かっていることはないのだということだろう。
# by kkusube | 2011-07-19 21:01 |
 ギブスンの「ニューロマンサー」以来の処女長編でのヒューゴー&ネビュラ賞受賞作である。しかもローカス賞までというこの年の長編SF賞を総なめした作品。ヒューゴー賞は読者投票でネビュラ賞は作家の投票という違いがあるので、どちらをも満足させる作品はそう多くはない。しかも全体に暗めの近未来を描いた作品である。
 地球環境の悪化で、水辺に近い都市は水没の危機を迎えているし、石油資源が枯渇しているので、化石燃料は石炭ぐらい。ゼンマイ動力がその代わりをしているのだろう。遺伝子操作技術の失敗からか、植物には疫病が蔓延し、ジーン・ハックゾウムシがわずかばかりの緑をも食べつくしてしまっている。舞台はバンコク。物語は、危機的な状況でも権力闘争に明け暮れる人類と、その中に巻き込まれた遺伝子操作で生まれた少女型アンドロイドの運命を描く。
 バンコクを警備する白シャツ隊のジェイディー隊長。その部下の笑顔を見せないヒロインのカニカ。タイ王国に食い込もうとする西洋人アンダースンとカーライル。マレーシアでの大虐殺から逃れてきたイエローカード難民のホク・セン。タイ王国の権力を握ろうとする官僚制力。どの登場人物にもそれらしい奥行きがあって憎めない。それぞれの視点で場面は展開してゆくので時間経過が分かりづらい面もあるが、読みやすい文章なのでついページをめくってしまう。
 期待の大型新人という評判であるが、評判に違わない面白さだといえるだろう。ただこの物語には教訓がない。人類は愚かなだけだ。
「ねじまき少女」パオロ・バチガルピ著_a0042660_21113377.jpg

# by kkusube | 2011-06-06 21:11 |
 10年くらい前に全2巻で作品社から出ていたナボコフ短編全集が3編の新しく見つかった短編を加えて復刊されるという。bk1で300円のギフト券が出た勢いで予約してしまったが、7800円(税別)が果たして高いのやら安いのやら。とりあえずAmazonには2巻のうちの片割れだけで10000円近いマーケットプライスが付いている。短編の名手といわれるナボコフの作品を読み楽しむことができるのかどうかは、能力的に大いに疑問の残るところだが、ここで買わないと多分次はいつになるかわからないし、中古になってもそれなりの価格であることが驚きだ。20000円の中古品よりは8000円の新品の方がお財布には優しいことになる。しかしながら2巻本でも500ページを超える大部の作品集。1巻本にするといったいどんな厚い本となることやら。うちにある最も単価の高かった単行本は山尾悠子作品集成で8800円(税別)であるが、これはもうファンの宝物であるからいいにしても、それに次ぐ宝物となってしまうかもしれない。ピンチョンの全集だって似たようなものだけど。ただし、本の楽しみは単純に読んでしまうだけでないし、その重さや行間を味わうことの贅沢さにあるのだとしたら、今から到着するのが楽しみである。
 図書館から借りてきて読むことも可能なのだけど、とてもゆったりとは読めないし所蔵する楽しみがないというのが図書館の最大の欠点。もちろん本なんて持っていても一文の足しにもならないばかりか、場所ふさぎなだけなんだけど。
# by kkusube | 2011-05-24 20:38 |
 2ヶ月経って福島第一原子力発電所の復旧作業は随分と進捗しているのかなと思っていたら、大量に給水していた一号炉で給水していた水がダダもれであったということが昨日分かったらしい。それまでは計器が故障していたので異常表示をしていたと思っていたというのだから、素晴らしい人たちで復旧作業は続けられているらしい。内部容器の容量以上に給水しても満水にならなければ、それは破れたバケツであることぐらは、小学生にも分かるような話である。まさか原子炉の格納容器は完全無欠の破れないバケツであると思い込んでいたということだろうか。2ヶ月給水を続けて、ようやく破れバケツだと判明するような人たちで復旧作業が続いているのだとしたら、当分は福島第一原子力発電所の周辺に近づくことはおろかしいことだし、周辺の海も土壌もダダもれの放射能汚染水が溢れている危険地帯と考えざる得ない。この間にどれだけの給水を続けて放射能汚染水となって漏出しているのだろうか。それは今も続いている。なんともはやの世界である。
# by kkusube | 2011-05-12 19:09
 インプレッサとしては早めのモデルチェンジで、4代目インプレッサがデビューする。NYオートショーで発表された内容を見る限りでは、手頃な大きさで期待できそうなクルマである。ボデイスタイルそのものは現行車種のままのように見えるが、オートマチックトランスミッションをCVTに変更するために大幅な改変をしているハズである。
 フロントグリルも落ち着いてスバルらしくというかレガシィのようなイメージとなった。3代目のインプレッサは顔がインパクトなさすぎで、どこのクルマなのか分からなくなってしまったのが難点であった。しかも国内版ではVDCはGTにだけオプション。廉価版はチープな内容だったし、インテリアもチグハグな洗練されないデザインだった。
 いまの日本ではワゴンを愛する人達が少なくなってしまったが、それでもレガシィはツーリングワゴンが顔である。それにしては現行のレガシィはアメリカ市場向けとなってしまって、日本での取り回しを考えると大きくなりすぎてしまった。旧来のレガシィを求める向きには選ぶクルマがなくなっていた。インプレッサを以前のレガシィの土俵に引き上がる必要性をスバルの開発陣も感じていたに違いない。
 このクラスはマツダのアクセラスポーツとしっかり被っている。デザインもとてもよく似ているように思える。もちろんマツダにはマツダの顔があり、スバルにはスバルの顔があるのだけれど、側面図で見てみると本当によく似ているように思う。もう一台シトロエンの新しいC4もほぼ同じサイズのクルマである。
 実車での作り込みが楽しみであるし、悪名高いCVTをどう料理しているのかも興味津々である。

新しいインプレッサはよさそうだ_a0042660_15493776.jpg

# by kkusube | 2011-05-07 15:51 | クルマ

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